「ブレードランナー2049」の評価が意地悪過ぎ

SF
10 /11 2017
評論家も観客も極めて高評価なのに対して、興行収入が目標に達しなかったということで失敗作のように言われている「ブレードランナー2049」。
公開を楽しみにしているのに水を差してくれますね(汗)

「ブレードランナー」続編は本当に″大コケ″と言われる映画なのか?--- シネマトゥデイ
https://m.cinematoday.jp/news/N0095203

大金がかかってる大作なのでシビアなのは分かりますが、首位を取ったのに「大コケ」なんて厳しすぎません?
こんなニュースのせいで、世紀の傑作と言われる「ブレードランナー2049」を見逃す人が増えそうで嫌だなあ。
そして、今まで以上にくだらない使い捨て娯楽映画にハリウッドが傾倒していきそうで心配です。



興行収入がちょっとだけ目標に届かなかったからといって、「ブレードランナー2049」が駄作という訳ではないと思います。
SF映画の金字塔と言われる前作だって興行収入はボチボチだったのが、ビデオやDVDになってからジワジワと評価が高まってきたわけです。
だから公開直後の売り上げだけ見て作品自体を評価しちゃダメでしょう。

自分の目で見て、自分でちゃんと評価したいですね!!!

  


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「ブレードランナー2049」が待ちきれない!

SF
10 /05 2017
大好きな「ブレードランナー」の続編、「ブレードランナー2049」の公開がいよいよ今月末に迫ってきました!



前作は、ソフト化されて様々なバージョンが見れるようになってから、今まで何度見たことか。
続編はリドリー・スコットが自分では監督せず、製作総指揮のみと聞いたときは酷くショックでしたが、代わりに「灼熱の魂」「プリズナーズ」のドゥニ・ヴィルヌーブ監督が務めると聞いて一気に期待が高まりました!!
しかも、ハリソン・フォードが前作の主人公デッカードを演じ、さらに「ドライブ」を見てからお気に入りのライアン・ゴズリングが主演、おまけに大好きな「ミスター・ノーバディ」に出ていたジャレッド・レトまで拝めるなんて贅沢過ぎます。

ただ、個人的にちょっと不安な部分もあったんです。
一つは音楽がヴァンゲリスではないことと、もう一つが前作のデザイン面で大きな役割を果たしたシド・ミードが参加していないこと。

でも、予告編で見る限りでは、ヴァンゲリスっぽいシンセサイザー風サウンドを取り入れた楽曲が流れていたので、上手く前作とのバランスを考えて作られているようですね。
またデザインについても、予告編では前作から30年後という世界を違和感なく表現できているように感じました。

しかも、プレミアで見たシド・ミード、続編を賞賛してます!



引っ掛かっていたことがクリアになって、ますます楽しみになりました!

あ~、10月27日の公開が待ち遠しいです!

(待ち遠しすぎて何かブレードランナーのネタを書きたくなったのですが、なんだか取り留めのない内容になっちゃいました。。。)

  

「ベイビー・ドライバー」 エドガー・ライト監督のカーアクション映画

カーアクション
08 /30 2017
「ベイビー・ドライバー」
(原題:BABY DRIVER)
2017年イギリス/アメリカ




サイモン・ペグ主演の「ショーン・オブ・ザ・デッド」や「ホット・ファズ」等の監督、エドガー・ライトの新作「ベイビー・ドライバー」を見てきました。
例の如く、映画おたくのエドガー・ライトらしく、過去の映画への愛情がたっぷりと込められたPOPなクライムアクション映画でした。

主人公のベイビーを演じるのはアンセル・エルゴート。リメイク版「キャリー」でクロエちゃんをプロムに誘ってた彼ですね。
ヒロインのデボラ役は「シンデレラ」のリリー・ジェームス。「高慢と偏見とゾンビ」を見てからちょっとお気に入りの女優さんです。
強盗団のボスはケビン・スペイシー。強盗団の暴れん坊バッツ役にジェイミー・フォックス。何とオスカー俳優揃い踏みです。
その他強盗団のメンバーは、優しい兄貴分のバディがジョン・ハム、その彼女役で銃を構えた姿がエロかっちょいいダーリン役がエイザ・ゴンザレス、「ウォーキング・デッド」以降すっかり悪役に固定された感のあるジョン・バーンサル。

カーアクション映画ファンとして嬉しかったのは、「トランザム7000」シリーズでリトル・イーノスを演じていたポール・ウィリアムズが武器商人役で、あと同じく強盗の逃がし屋を描いた「ザ・ドライバー」の監督、ウォルター・ヒルが裁判所のシーンで声だけ出演していたこと。
この辺の人選は過去のカーアクション映画へのオマージュでしょうね。
あと、一番最初の銀行強盗の場面、通りすがりの一般車で、一瞬だけシルバーのシボレー・インパラが映ります。
これ、逃がし屋が主人公の映画「ドライブ」で、ライアン・ゴズリングが銀行強盗を乗せ、LAのダウンタウンを走り回ったのと同じ車種です。
もしかしてこれも「ドライブ」へのさり気ないオマージュ?
「ドライブ」にも「ザ・ドライバー」にちらっと映っていたシボレー・マリブが出ていたし、もしかしたらこれも狙って仕込んでいるのかな?考えすぎ?
それにしても、「ザ・ドライバー」のライアン・オニール、「ドライブ」のライアン・ゴズリング、そして「ベイビー・ドライバー」のアンセル・エルゴート、映画の中の逃がし屋はなぜみんな寡黙なのでしょうね?
「ザ・ドライバー」のイメージが強すぎるのかな?
(?ばっかですね。。。)

主人公の青年「ベイビー」は、自慢のドライビングテクニックで強盗の逃走を手助けする逃がし屋。
自動車泥棒をしていた少年時代、盗んだマフィアの車ごと麻薬をダメにしたうえに捕まってしまい、その弁償が済むまでの間、犯罪組織の一員として働いていました。
やっとのことで借金の返済を終わらせると、組織を抜けてピザ屋の配達員として働き始めます。
普通の若者らしく、仲良くなったダイナーのウェイトレス、デボラとデートを楽しんだりしていましたが、類稀なドライビングテクニックを持ったベイビーを犯罪組織が放っておくはずがありません。
無理矢理裏社会の仕事にカムバックさせられてしまうのですが、ジェイミー・フォックス演じるバッツがグループ内をひっかき回し、残りのメンバー、バディとダーリンのカップルまでもベイビーに対して不信を露わにし、チームの中には不穏な空気が漂います。
嫌な雰囲気のまま郵便局強盗へ向かいますが、誰彼構わず銃を向けるバッツに耐えられなくなったベイビーがバッツを殺します。
しかし逃走用の車も壊してしまい、足を失った3人は、警官隊に追い詰められ、ダーリンが射殺されてしまいます。
愛するダーリンを失ったバディは、マシンガンを手に警官隊に突撃。
その隙をついて、郵便局から奪った小切手の入ったバッグを掴み、逃げ出すベイビー。
警察の追跡をかわし、デボラと共に街を出ようとダイナーまで辿り着いたベイビーを待っていたのは、怒りに燃えるバディだった。。。

強盗チームのバディとダーリンは、最初のうちはベイビーのことをかわいがってくれる優しい兄さん、姉さんだったんです。
途中からチームに参加したバッツが無茶苦茶嫌な奴だったので、こいつが敵役になるのかと思っていました。
ところが、バッツがチームワークを乱したせいで結果的にダーリンが死に、その復讐に取りつかれたバディが敵となってしまうという展開。
最後はベイビー&デボラVSバディの構図となるわけです。
バディさん、格好良くて優しいアニキだったのに残念です。

カーアクションは前半にスバル・インプレッサ VS パトカー、シボレー・アバランチ VS ダッジ・ラムのシーンが続きます。
まとまったカーアクション場面はこの二つです。
郵便局強盗に失敗して以降はちょいちょい車を乗り換え、トヨタ・カローラ→シボレー・カプリス→リンカーン・コンチネンタルMkV→ダッジ・チャレンジャー・ヘルキャット→メルセデス・Sクラス→シボレー・K10ブレイザーなどが登場しますが、カーアクションと呼べるほどの活躍はありません。
個人的にはチャレンジャー・ヘルキャットあたりの激しいカーアクションを後半に用意してくれたらもっと嬉しかったんですけどね。
ちなみに、太っ腹なことに、冒頭のインプレッサによるカーアクションシーンが丸々公開されています。↓



公開中に公式がいきなり見せ場の一つを全部見せてくれちゃうなんてスゴイですよね(汗)
まぁ本編を見れば、見どころはこれだけじゃないと分かるのですが。

そんな車たちのシーン以上に、この映画で重要な役割を果たしているのが音楽です。
ベイビーが常にイヤホンで音楽を聞いているのは、幼い頃に両親を亡くした交通事故の後遺症で、鳴りやまない耳鳴りをかき消す為。
そのため、映画の中では音楽が流れている場面が多く、また使われている曲が単なるBGMでなく、しっかり物語の中に組み込まれています。
宣伝文句でこの作品をミュージカルと表現したりしていましたが、これ、言い得て妙です。
別に登場人物が突然街中で歌い始めたり、踊ったりする訳ではありませんが、使われている曲が映像や登場人物の動作とリンクしているんですね。
銃撃戦では銃声が曲のリズムに合わせて響き渡ったりとか。
この仕掛けが大変面白かったです!

エドガー・ライト監督と言うとコメディの印象が強いですが、サイモン・ペグ主演作品のような爆笑シーンは控え目。
でも前述の音楽を使った遊び(というには随分手間がかかっていますが…)など、クスッと笑いを誘うユーモアがあちらこちらに散りばめられていて、過去作品のコメディ要素に期待するファンにもしっかり応えてくれています。

カーアクション、クライムサスペンス、コメディ、音楽、恋愛…様々な要素が詰め込まれているので特定のジャンルに括るのが難しいですが、極上のエンターテイメント作品であることは間違いありません!
見終わった後のお得感が非常に高い一本でした♪

ちなみに、若手の天才監督を三人挙げろと言われたら、クリストファー・ノーラン、ニコラス・ウィンディング・レフンとエドガー・ライトですね。
まぁ誰もそんなことは聞いてきませんが…。
でもそれくらいすごい才能を持ったクリエイターだと思います。
エドガー・ライトの作品を見る度、「映画ってこんなに面白く作れるんだな~」といつもびっくりさせられます。

ところで、わたくしはちょっと足を延ばして、立川市のシネマシティという劇場の極上爆音上映で見てきました。
音響設備だけで数千万円も掛けているだけあって、その音の迫力や臨場感は、他の劇場では味わえません。
「マッドマックス怒りのデスロード」で初めて極上爆音を体験したときは、感動のあまり涙がこぼれそうになりました。
爆音といっても、耳を塞ぎたくなるようなただ大きいだけの音ではありません。
高音から低音まで、効果音からBGMまで、それぞれの音が鮮明に聞こえ、そして重低音は耳よりも空気を通じて体を震わせてくれます。
「ベイビー・ドライバー」は「マッドマックス」のように重低音で内臓がブルブル震える(※注:間違っても表面の脂肪ではない)ことはありませんでしたが、音楽のリズムが映像を支配する場面が多いこの作品でも、極上爆音の効果は覿面でした。
映画好きの方なら、是非一度は立川シネマシティの極上爆音上映を味わってみてください!


「エンド・オブ・ザ・ワールド」が現実になりませんように…

戦争もの
04 /13 2017
アメリカのトランプ大統領が、シリア爆撃に続いて北朝鮮を…なんていうキナ臭い話が出ています。
(非常に緊迫した状態にも関わらず、なぜか日本国内ではあまり話題になっていませんが…)

そんな現在の状況を見ていると、2000年にオーストラリアで製作されたTV映画「エンド・オブ・ザ・ワールド」が頭をよぎります。
この作品、中国が台湾に侵攻したのをきっかけに全面核戦争が勃発し、唯一被ばくを免れたオーストラリアが舞台です。
しかし地球上の殆どを汚染した放射能がジワジワと豪州にも忍び寄り、最後は国から支給された薬で全国民が安楽死するという悲惨なストーリー。
1959年に、ネビル・シュートの原作を元にスタンリー・クレイマー監督によって製作された「渚にて」のリメイクですね。
放射能の描写など、今じゃ日本の子供にもウソこけ!と突っ込まれそうですが、核戦争が人類にとってプラスになることは何もないということはよく分かる作品でした。

核兵器をチラつかせて「撃つぞ!撃つぞ!」と騒いでる輩どもに、「エンド・オブ・ザ・ワールド」や「渚にて」、「ザ・デイ・アフター」などを見せてやりたい。
まあ本当に戦争が始まるとは思えませんが、それでも行動が読めない二人ですからねえ。
仲良くしろとは言わないけれど、もう少し冷静になりましょうね。



 

「ロッキー」1作目~5作目まで一気に見直し

人間ドラマ
02 /27 2017

10代の頃、仲間と一緒にハマってやたらと見まくった「ロッキー」シリーズ。
不器用だけど実直で、しかも強いロッキーに憧れたものです。(遠い目…)
ただそんな熱い想いも1990年の「ロッキー5/最後のドラマ」まで。
ボクシングをせずにストリートファイトで終わる5作目は、リング上での壮絶な打ち合いを期待していたロッキーファンに対して盛大に肩透かしを食らわせてくれました。
当時、「ロッキー5」を見て、「ロッキーを終わらせやがった…」と、失望と怒りを感じたものです。。。
で、その後2006年に6作目となる「ロッキー・ザ・ファイナル」が公開されましたが、この時は気にも留めずに完全スルー。

で、2015年に公開された「クリード チャンプを継ぐ男」。
これが「ロッキー」の続編で、老人となったロッキー・バルボアがトレーナーとして親友アポロの息子を育てる、という作品だと知ったのは恥ずかしながらつい最近でした。
1作目と2作目ではロッキーと壮絶な戦いを繰り広げ、3作目ではトレーナーを失ったロッキーのサポートを買って出てくれ、二人の友情が確固たるものとなった4作目で非業の死を遂げたアポロ・クリード。
その忘れ形見を一人前のボクサーにするためロッキーが立ち上がる…なんて聞いたら、さすがにロッキー終了と思っていたファンもピクッと反応しちゃいますね。
「クリード」を見ようと思ったのですが、5作目のトラウマからそれ以降「ロッキー」を避けていたこともあり、記憶が曖昧な部分も多かったため、先日から「ロッキー」シリーズを一気に見直してみました。


「ロッキー」
(原題:ROCKY)
1976年アメリカ映画




アカデミー賞作品賞、監督賞、編集賞の受賞も納得の傑作ボクシング映画。
シルベスター・スタローンが自ら書いた脚本を映画会社へ売り込み、B級映画の監督だったジョン・G・アヴィルドセンにより製作されました。
ボクシング映画と言っても単に汗臭いスポコン映画ではなく、社会の底辺で暮らすロッキーが、不屈の精神で不可能に挑む人間ドラマが核です。
高利貸しの取りたてで日銭を稼ぎつつ、賭けボクシングのリングに立っていたロッキーが、ヘビー級チャンピオンのアポロ・クリードから対戦相手に指名されたのを機に夢を実現するまでを描いています。
不器用で貧乏、周囲からもちょっと見下されたような扱いをされているのに、いつも人に優しく、真面目で前向き。
作品の製作背景を見ても決して恵まれた作品ではなく、僅かな予算と厳しい条件の中で撮影されています。
逆境の中で製作され、スタローンや関係者の情熱で実現したという作品の成り立ちまでもが、まるでロッキーというキャラクターのようです。
若い頃はそんなに泣いた記憶はないのですが、年を重ねた今、14ラウンドあたりから涙が止まりませんでした。
やはり男としてロッキーの生き方には憧れます。
あと、今まではテレビ放映の吹き替え版しか見た事が無かったのですが、オリジナル音声で見るとエイドリアン(タリア・シャイア)の印象が随分違って見えました。
タリア・シャイアの吹き替えを担当する松金よね子さんは、バラエティ出演時のキャラや強い個性のためか、エイドリアンが松金さんに見えちゃうんですね。
コッポラの妹でさえも自分の個性で染め上げてしまう松金さんも、改めてすげー女優さんだと再認識。


「ロッキー2」
(原題:ROCKY II)
1979年アメリカ映画




成功を掴み損ねたロッキー&エイドリアン夫妻の物語と、前作で判定負けしたアポロとのリターンマッチを描いた2作目。
この2作目からはスタローン自身が脚本に加え、監督も自ら務めます。
今見直してちょっと気になったのが、1作目よりもロッキーのキャラが誇張されていて、単なるおバカさんに見えてしまうこと。
こちらも今回初めて字幕オリジナル音声で見ましたが、喋り方も1作目以上にスローで舌足らず、既にパンチドランカーみたいです。
自分で監督しちゃったもんだから演技指導してくれる人が居なかったのかな。


「ロッキー3」
(原題:ROCKY III)
1982年アメリカ映画




3作目では、新たな挑戦者クラバーとの戦いを描いています。
初めての敗北、支えであったトレーナー、ミッキーとの別れ、そしてライバルであるアポロとの友情に胸熱。
前作のおつむが足りないおバカさんから一変、3作目のロッキーはやり手ビジネスマンのようなキャラクターです。
この3作目までは作品ごとにキャラが変わる点にちょっと違和感ありますね。
またシリーズからミッキーを失ったのはショックですが、ロッキーとアポロの名コンビを見られるのは楽しいです。


「ロッキー4/炎の友情」
(原題:ROCKY IV)
1985年アメリカ映画




ボクシングへの未練を断ち切れないアポロは、ソ連のプロボクサーであるイワン・ドラゴとの復帰戦に臨みます。
しかしドラゴの強烈なパンチを食らったアポロは試合中に命を落としてしまいます。
アポロの仇討ちを誓ったロッキーはソ連へ渡り、ドラゴとの戦いに挑みます。
10台の頃に見た時は”一級エンターテイメントに昇華したロッキー”だと思いましたが、今見ると色々と子供騙し的な仕掛けが目に付きます。
金に者を言わせてポーリーにプレゼントしたロボットとか、殺人マシーン・ドラゴを生み出したソ連のハイテク機材とか、すんごく嘘くさいw
ドラゴのハイテクトレーニングに対して、過酷な自然の中で鍛えるロッキーのトレーニングはとても非効率に見えてしまいます。
あと、当時流行っていたMTVやミュージックビデオの影響を受けた作品(フットルース等)のような音楽の使い方も、今見ると非常に古臭く感じますね。
当初の「ロッキー」らしさは薄いですが、まあシリーズ中一番の娯楽作ではあります。


「ロッキー5/最後のドラマ」
(原題:ROCKY V)
1990年アメリカ映画




会計士の不正で全財産を奪われてしまったロッキー一家の再生の物語。
豪邸を追われて一家が移り住むのは、昔エイドリアンと義兄ポーリーが暮らしていたあの家です。
文無しとなったロッキーは、ミッキーから受け継いだジムの立て直しを図り、そこで実力を見出した若手ボクサー、トミー・ガンの育成に励みます。
しかし、一人息子ロッキーJr.は、自分よりもトミーを優先する父の態度に反発し、親子関係がギクシャクしてしまう。
ロッキーが家庭を犠牲にしてまで育てたトミーだったが、ドン・キング風なプロモーター、デュークにそそのかされロッキーの元を去ってしまう。
デュークの元で試合に勝利を収めたトミーは、英雄ロッキーを捨てた事で世間から猛バッシングを受けることとなる。
凹むトミーに金の亡者デュークは、ロッキーをリング上に引っ張り出して勝利すれば世間も認めてくれると吹き込みますが。。。
冒頭で「ロッキーを終わらせた」なんて書きましたが、今回久しぶりに見直してみたらそれほど悪くなかったです。
以前見てがっかりした理由は、ボクシング映画のつもりで見に行ったのに、リングでは戦わないことです。
ダウンタウンの通りでストリートファイトするわけですが、投げ飛ばしたり蹴ったりと、ボクサーの戦いではなくただのゴロツキの喧嘩。
でも今回は最初からその辺を踏まえて見ているので、初回に見た時よりも自然に物語を受け入れられました。
リングで対戦したら悪徳プロモーターの思う壺ですから、敢えてロッキーはその場でトミーと決着をつけたわけです。
また、築き上げた富を全て失ったことで、悪趣味な成金ファミリーを卒業してくれたのは良かったと思います。
そのおかげでロッキーファミリーそれぞれの内面にスポットライトが当たるようになり、思春期の息子との葛藤を描いたファミリードラマとしても成立しましたから。
ってな具合に、ロッキーファンが望む形よりも、ストーリーを重視した結果…と肯定的に捉えてあげたらそこそこ楽しめました。
エルトン・ジョンが歌うテーマソングが流れるエンドロールではうっかり感動しちゃったし。
とはいえ、期待して見ると物足りなく、期待せずに見ると楽しめる、なんとも微妙な作品であることは間違いないですがw
ちなみに、ロッキーの息子を演じるのはスタローンの実子であるセイジ・スタローン。
残念ながら2012年に心臓発作で急逝してしまいました。


このように、改めて見直してみると、以前見た時の印象と異なる部分があったり、また新しい発見があったりするので楽しく見れました。
立て続けに見たのでロッキー・バルボアの半生を追体験したような気分になりました。
何だかんだ言っても、やはり「ロッキー」シリーズは面白いです。
新作のおかげで見直すチャンスが得られたのは幸運だったかも♪

「ロッキー・ザ・ファイナル」と「クリード チャンプを継ぐ男」は後日改めて感想を書きたいと思います。

  
  
 
  
 

「スケアクロウ」 考え方ひとつで、殺伐とした人生もハッピーになる

人間ドラマ
08 /05 2016
「スケアクロウ」
(原題:SCARECROW)
1973年アメリカ映画




テレビでやってたのを録画した1973年のアメリカ映画「スケアクロウ」を見ました。
荒くれ者のヒッチハイカー、ジーン・ハックマンと、旅の途中で出会ったヒッチハイカー、アル・パチーノのロードムービー。

この主役二人の、タイトルにもなっている案山子の捉え方が面白い。
ジーン・ハックマンは畑を荒らしに来たカラスをビビらせるための物。
アル・パチーノはひょうきんな顔の案山子を見せて「こいつはいい奴そうだからこの畑を荒らすのはやめよう」とカラスに思わせる物。

このアル・パチーノの考え方が、粗野なジーン・ハックマンの生き方を少しずつ変えていきます。
暴力沙汰ばかり起こしていたジーン・ハックマンが怒りを笑いに変換し、周囲の見知らぬ人々まで笑顔にするシーンが素晴らしい。

みんながアル・パチーノみたいな考え方が出来れば、きっと地球上から暴力や争い事が消えるのにね…。
戦争映画じゃないのに平和について考えさせられました。

とてもいい映画なので、世界の平和を願う方には是非見て欲しいと思います。


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「運命のボタン」 「ドニー・ダーコ」の監督によるビックリ映画

サスペンス/スリラー
05 /28 2016
「運命のボタン」
(原題:The box)
2009年アメリカ映画




先日、何となく見た「ドニー・ダーコ」がえらく面白かったため、監督のリチャード・ケリーの他の作品も見てみようとwikiで見定めたのがこの「運命のボタン」です。
なんと原作は、怪奇ものやSFなどの名作を多数書き上げた小説家&脚本家のリチャード・マシスン。
「地球最後の男(アイ・アム・レジェンド)」や、「ヘルハウス」、「トワイライトゾーン」など、ひねりのある展開が印象に残る作家さんですね。
また「奇跡の輝き」や「ある日どこかで」といったファンタジーものも素晴らしいです。
「ドニー・ダーコ」の監督が撮ったリチャード・マシスン作品なんて、見る前から期待が高まります!


アーサー、ノーマのルイス夫妻が息子のウォルターと三人で暮らしている家に、ある日小包が届けられる。
中には、上にボタンが付けられた木箱が入っていた。
その木箱の差出人は、左の頬から顎にかけて肉が削げ落ちたような傷跡を持つ老人、スチュワード。
彼いわく、そのボタンを押すとどこかで見ず知らずの人間が死ぬことになるが、24時間以内にボタンを押したら100万ドルをくれると言って去っていった。
悩む夫妻だったか、生活に困窮していたノーマはボタンを押してしまう。
翌日、スチュワードが100万ドルの現金を届けに来る。。。


前半はこんな感じなのですが、見始めてすぐに猛烈な既視感。。。
大昔にTVシリーズの「トワイライトゾーン」で見た事を思い出しました(汗)
リメイクと表現できるほどかなり忠実にTVシリーズを再現しています。
ちなみに上に書いた部分までがTVシリーズで描かれた部分でした。
まだ始まったばかりなのにこれから1時間以上どうやって引っ張るの!?と心配になりましたが、ここからはTV版には無かった要素が付け加えられ引き伸ばされています。
ただ、その新ネタが早々にバラされてしまうので、前半の緊張感は持続せずちょっとだらけます。
その代わり、かなりビックリする展開が用意されています。(良い意味か、悪い意味かは置いといて)

実はスチュワードの顔の傷は雷に打たれた時に出来たもの。
その落雷を受けた時に宇宙人と繋がってしまい、地球で行う実験を手伝わせれている事が判明します。
ボタンを託し、他人の命よりも金を選ぶような生物ならば存続させる価値は無い、というのがその宇宙人の持論。
そして地球人を試す為にスチュワードが各家庭にボタンを届けていたのでした。

TV版を知ってる方は「え!?う、宇宙人???」と耳を疑うはず(笑)
かなりとんでもない展開ですが、まあそれでもここまではそれなりにドキドキしながら見れます。
問題はエンディングにかけての展開です…。

で、宇宙人の期待どおり、ボタンをポチッって他人を殺してしまった一家には、残酷な罰が下されることになります。
ます一人息子ウォルターの視力と聴力が奪われ、バスルームに監禁されます。
もしも息子の目と耳を元に戻したければ、アーサーの手でノーマを殺せと、スチュワードから銃が手渡されます。
死にたくなければ息子の視力、聴力は諦めなければなりません。
また100万ドルについては、ノーマを射殺すればウォルターの18歳の誕生日に改めて渡してくれるが、死ななければ今から自由に使えるとのこと。
【母親が死に、父親は妻殺しの殺人犯となる代わり、息子の体から障害は消えて将来は大金がもらえる】 or 【大金を手にし、両親は健在のまま、息子は視力と聴力を失ったまま生きていく】の二者択一。
夫妻はどうするかというと、大して迷うこともなく前者を選びます。
あの世で再会しよう、と抱き合った後、アーサーはノーマの心臓をズキュン!
ノーマが息絶えた事でウォルターの体は元に戻り、そして銃声の通報により駆けつけた警官にアーサーは逮捕されます。
ところが、家を出た後に手錠を外され、パトカーではなく黒塗りの怪しいセダンに乗せられて連行されます。
スチュワードが乗って現れるのも黒いセダンだったので、これは恐らく宇宙人一派が使わせた車なのでしょう。
選択を誤ってボタンを押したノーマは死に、ノーマを殺したアーサーはその行為が認められて宇宙人の仲間にさせられたという事でしょうか。

エンディングの黒いクルマのところは面白かったですが、その前の、息子の為に母親が死ぬという展開はイマイチでしたねえ。
息子を利用した宇宙人のやり方も安易で卑劣で面白くないし、宇宙人の言うがままにあっさり命を捨てたノーマにも、愛妻をいとも簡単に射殺したアーサーにも感情移入できませんでした。
あの展開だけもうちょっと上手く丁寧にまとめてくれたらよかったのにね。
その手前までなら平均点くらい付けてあげようかと思ったんだけど、このラストが全てを台無しにして落第確定。
もったいないねえ。

奥さんのノーマを演じるのはキャメロン・ディアス、アーサーは「わらの犬」でも大変な目に遭う旦那を演じていたジェームズ・マースデン。
宇宙人の使いであるスチュアードは1979年版の「ドラキュラ」で吸血鬼を演じていたフランク・ランジェラ。

リチャード・ケリー監督、ググってみるとデビュー作「ドニ・ダーコ」が今のところ最高傑作みたい。
まあ「ドニ・ダーコ」も荒削りで言葉足らずなところも多く、それがあの作品ではいい方に転んだ訳だけど、「運命のボタン」のラストでは言葉足らずどころか演出に手抜き感すら感じてしまいました。時間が無かったのかな!?



「クーデター」 アジア某国でクーデター発生!アメリカ人一家を暴徒の群れが襲う!

サスペンス/スリラー
05 /24 2016
「クーデター」
(原題:NO ESCAPE)
2015年アメリカ映画




予告編を見て猛烈に興味を惹かれた作品です。
暴力に包まれた見知らぬ土地で、愛する家族を守りながら逃げ惑う父親を描いています。

東南アジアの某国へ、現地の水道会社を支援するために妻、二人の娘と共に移住する事になったジャック。
入国後、会社が手配した豪華なホテルに着いた一家は、見知らぬ土地に不安を感じながらも新生活をスタートするはずだった。
しかし翌日、その国の大統領が暗殺され、政府が転覆。
暴徒と化した国民たちは、「国を乗っ取ろうとする外国人を殺せ!」と叫びながら、無抵抗の民間人を片っ端から殺し始める。
ジャック一家が滞在するホテルにも暴徒たちが流れ込み、従業員や宿泊客を襲いだした。
運の悪いことに、現地水道会社がジャックを歓迎する顔写真入りの横断幕をホテルに掲示していたため、水道会社乗っ取り犯として目を付けられてしまう。
妻と幼い娘たちを守るために意を決したジャックは、家族と共に秩序が崩壊した街中へと飛び出していく。。。

これ、最近見た中で一番ドキドキした作品です。下手なホラー映画より恐ろしい。
自分が襲われるだけなら自分でどうにかすりゃいいけど、愛する妻子が危険に晒されるというのは一家を守る父親としては非常にツライ。
しかも土地勘は無いわ、言葉は通じないわ、国民は総暴徒化。最悪です。
子を持つ親として、終始ジャックと自分を重ねながら見てしまいました。
緊張感と恐怖で見終わった後はもうクタクタ。

監督はスペインのPOVゾンビ映画「REC」のハリウッドリメイク版を撮ったジョン・エリック・ドゥードル。
この人のスリリングな演出は結構自分好みかも。
撮影や編集にも緩急があって良かったです。
例えばホテルから隣のビルの屋上へ子供を放り投げる場面とかね。自分の子供を重ねたりしたら恐ろしくて夢に見そうですよ。

出演は一家のお父ちゃんジャックにオーウェン・ウィルソン。
ベン・スティラーと共演した多数のコメディの他、「カーズ」のライトニング・マックイーン、「アルマゲドン」などにも出演してましたね。
そういえば「エネミー・ライン」でも武装勢力に追い回されてたっけ。
精神的に不安定な時期があったようですが今も元気そうでなによりです♪
一家を助けてくれる謎の男に5代目ジェームズ・ボンドや「探偵レミントン・スティール」のピアース・ブロスナン。
最初は胡散臭いおっさんでしたが、最後はびしっと格好良い所を見せてくれます。
長女役は「死霊館」でヴェラ・ファーミガの娘役、「ワールドウォーZ」でブラピの娘役を演じたスターリング・ジェリンズ。
次女役は「ドリーム・ホーム」でダニエル・クレイグの娘を演じていたクレア・ギア。
この二人の子役の可愛さも観客のスリルを倍増させる要因ですね。

大切な家族を持つ方なら主人公と一緒にスリルを味わえることうけあいです。
「キリング・フィールド」「遠い夜明け」「ホテル・ルワンダ」のようにグチャグチャに混乱した国を逃げ回る映画ですが、完全にフィクションなのでこれら実話ベースの作品と違って気楽に見れます。
基本娯楽スリラーですので、リアリティは置いといて…といった印象も無きにしも非ずですが、十分許容できる範囲です。
B級映画のDVD収録の予告編で存在を知った作品なのに、想像をはるかに上回るクオリティでしっかり楽しめました!





「ドニー・ダーコ」 高校生の身に起こる不思議な現象

サスペンス/スリラー
05 /19 2016
「ドニー・ダーコ」
(原題:DONNIE DARKO)
2001年アメリカ映画



難解だと評価されているのを見て何となく敬遠していた「ドニー・ダーコ」を今さらながら見てみました。
全く出口が見えないような難しいお話ではなく、一度見ただけでもぼんやりながら主人公ドニー君の思考や最後の行動については理解できました。
ただ、「あれにはどういう意味があったんだ?」といったように、見落とした事がたくさんあるような気がするんですね。
で、見終わってすぐにもう一回見ちゃいました。
なるほど、これが繰り返し見てしまうことから「ドニー・ダーコ」がリバースムービーと呼ばれる理由ですね。
普通は映画が理解できず見直すのって義務のようになって結構しんどいこともありますが、「ドニー・ダーコ」は脅迫的に「見なきゃ」と思うのではなく、自然と「見たくなる」ところが面白いです。

傑作だ!と絶賛する人が大半ですが、中には「何じゃこりゃ?」「訳がわからん」と評する人もいますね。
作品の性格上、これは仕方のない事だと思いますが、個人的には分からないままで終わらせてしまうのは勿体ないと思います。
物語に隠された宝を探しながら見るようなこの感覚は、一度知ったらクセになる面白さです。
例えば、最後に出てくる赤いトランザムがオープニングでもさり気なく登場していたりとか、鏡に映った自分の目にナイフを突き立てるとか。
あまり書くとネタバレになっちゃうので書きませんが、見る度に発見があるのがスゴイ。
細かいネタがあちらこちらにむちゃくちゃ仕込まれているんです。

主役のドニー・ダーコを演じるのは、初々しさが残るジェイク・ギレンホール(今はジレンホールと読むのが一般的か?)です。
彼の主演作は好きな作品が多く、我が家のテレビには彼が映っている事が多い。
「ジャーヘッド」「ブロークバック・マウンテン」「ゾディアック」「マイ・ブラザー」「ミッション8ミニッツ」「エンド・オブ・ウォッチ」「プリズナーズ」…どれも好きです。
ドニーの姉役にはジェイクの本当の姉であるマギー・ギレンホール(ジレンホール…)。
「クレイジー・ハート」では味のある演技派女優ぶりを発揮していましたが、「ドニー・ダーコ」の彼女はまだあどけなさがあってかわいい。
高校の女教師役は、「ドニー・ダーコ」の製作総指揮も務めているドリュー・バリモア。
生き方を語る胡散臭い講師役は、今は亡きパトリック・スウェイズ(今の読み方はスウェイジか?)。
精神科医は「卒業」でダスティン・ホフマンと一緒に逃げた花嫁、キャサリン・ロス。
おばあちゃんになってたけど今でも当時の面影はしっかり残っていました。
フランクを演じるジェームズ・デュバルは「60セカンズ」にキップの仲間として出てましたね~。
あとコメディアンのセス・ローゲンが、いじめっ子高校生役で出てるのには驚きました。

現在はDVDしかありませんが、是非とも高品質なBlu-rayで発売して頂きたいです!!
使い捨ての商業映画はBlu-rayになるのに、こうして何度も見れる作品がDVDのみでおざなりになっているのがちょっと残念。
ソフトメーカーさん、よろしくお願いしますねっ!


【2016年10月追記】
「ドニー・ダーコ」のBlu-ray発売!!!!!

 





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「アンダーグラウンド」 旧ユーゴスラビアを舞台にした狂乱の物語

戦争もの
04 /14 2016
「アンダーグラウンド」
(原題:UNDERGROUND)
1995年フランス/ドイツ/ハンガリー/ユーゴスラビア/ブルガリア合作




ユーゴスラビア出身の映画監督、エミール・クストリッツァの作品です。
1995年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞しています。

物語は三部構成。
パルチザンから共産党員になった二人の男、マルコとクロ、そして二人が想いを寄せる女性ナタリアが主な登場人物です。

第一章が「戦争」というタイトルで、第二次大戦中、ナチスが侵攻したユーゴスラビアの首都ベオグラードでのお話。
マルコはナチスからの迫害から逃れるという口実で、親友クロ、実弟イヴァンを始めとする市民を民家の下にある巨大な地下室に閉じ込める。
クロたちが作った武器で金を稼ぎつつ、自分は地上で共産党員としての活動を続けたマルコは、大統領の側近になるまで出世していた。

第二章「冷戦」では終戦を迎えナチスから解放されたものの、マルコはクロたちを戦時中だと騙したまま武器密造を継続させていた。
しかしある日、、クロが銃を手にナチスを倒そうと、息子のヨヴァンを連れて地下を抜け出してしまう。
ヨヴァンの妻は夫に捨てられたと嘆き、地下の井戸に身を投げてしまう。
そんな事とは知らないヨヴァンは、ドナウ川で溺れてしまい、川底に現れた妻と共に川の中へ姿を消す。
消えた息子を探して川底を探すクロだったが、ヨヴァンは見つからなかった。
その頃、人々を騙し続ける生活に疲れたマルコが、爆薬で市民もろとも地下室を爆破。
妻となったナタリアと共に地下室を去っていった。

第三章のタイトルも「戦争」。舞台は、90年代、内線中のユーゴスラビア。
年老いたマルコとナタリアは武器商人として、最前線の部隊に武器を売り込みに来ていた。
そこへ収監されていた精神病院を脱走してきたイヴァンが現れ、自分を騙していた兄マルコを撲殺してしまう。
マルコの遺体に泣きながらすがり付くナタリアを発見した兵士は、上官の指示通り射殺し、遺体に火を放つ。
それを指示したのは、失踪した息子を探しながら内戦を戦っているクロだった。
燃え上がる二人の姿を見て、自分が命じて殺害したのがかつて恋したナタリアであると知ったクロは嘆き悲しむ。

クロは、今は廃墟となったあの地下室を訪れた。
その荒れ果てた中にある井戸をのぞき込むと、そこに息子ヨヴァンの姿を見つける。
息子の後を追うように井戸に飛び込み、ドナウ川へと出ると、その川岸では死んだ仲間たちが集まって宴に興じていた。
そこには親友マルコ、ナタリア、地下生活で亡くした妻に息子のヨヴァンもいた。。。

旧ユーゴスラビアの歴史を絡めつつ描いた大人向けファンタジー映画といった感じです。
日本人はあまり意識する機会はありませんが、自分の暮らす国、祖国について考えるきっかけを与えてくれました。
かといって堅苦しい作品ではなく、終始コミカルに、時に狂乱的に描かれています。
上に紹介した以外にも、マルコ、クロ、ナタリアに、ナチスの将校フランツが絡む四角関係や、戦争の英雄に祀り上げられたクロの伝記映画製作など、いくつかのドタバタエピソードが組み込まれていて飽きさせません。
また、劇中で使われるジプシーブラスという音楽は、賑やかなホーンの音色が楽しいです。
ミュージシャンの顔も持つクストリッツァ監督こだわりの音楽なのでしょう。
一度聴いたら耳から離れなくて本当に困りました(笑)

わたしは3年ほど前にレンタルで見たのが人生で初アンダーグラウンド、初エミール・クストリッツァでした。
実は初めてアンダーグラウンドを見た時、イマイチすっきりしない部分があったんです。
映画としてそれなりに楽しめたものの、世間のあまりの高評価に対しては疑問を感じました。
今思うと、歴史に翻弄されたユーゴスラビアについて余り具体的な情報を持っていなかったからかもしれません。
見終わっての感想は「まあ面白かったけど、もう見ないかな。」程度でした。
ところが、見終わってからずっと頭の中で劇中のジブシーミュージックが鳴り続け…、時間が経つごとにまた見たい気持ちが強くなり…、最後には身体が中毒のようにアンダーグラウンドを欲しはじめ…、3か月目にはBlu-rayを買ってました(笑)
ここまで中毒性の高い映画と言うのは珍しいと思います。
たった一回見ただけでここまで刷り込まれるなんて自分でも驚きです。
ちなみに、二度目の鑑賞の前に、改めてユーゴスラビアの歴史を振り返りました。
といってもサラッとWikiを流し読みした程度ですが、それでもアンダーグラウンドに秘められたエミール・クストリッツァ監督の想いを感じる事ができました。
この二度目の鑑賞はテストの答え合わせのように、ユーゴスラビアの史実とアンダーグラウンドを結びつけながら見るのが楽しかったです。
そして三度目以降はもうクストリッツァワールドにどっぷりです。
自分は繰り返し見たことで世間の評判にも納得できました。
凄い魅力…いや、魔力を持った映画だと思います。

ラスト、カメラ目線で語るイヴァンの言葉に胸が詰まります。。。
(エンディングの死んだ人が集まるシーン、「タイタニック」の元ネタかな?)

 



かひ

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